繰り返すモヤモヤの正体~感情・ニーズ・リクエストという心の筋トレ~
- 達也 早崎
- 6月11日
- 読了時間: 8分
更新日:6月27日
私たちは日々、多くの人と関わりながら生活しています。
職場、家庭、友人関係、地域活動。
その中で、
「なんだかモヤモヤする」
「あの一言が引っかかっている」
「本当は言いたいことがあったのに言えなかった」
「どうしてもあの人と同じことを繰り返してしまう」
そんな経験はないでしょうか。
実は、人間関係の悩みの多くは、相手そのものが原因ではなく、
自分自身の気持ちや大切にしたいことが見えなくなっている状態
から生まれることがあります。
今回の講座では、「心理ゲーム」という考え方を通して、人間関係の悪循環について学びました。
してしまうコミュニケーションパターン
のことです。
例えば、
相手を責める
我慢する
過剰に助ける
といった行動です。
本当は、
「協力してほしい」
「分かってほしい」
「大切に扱ってほしい」
という想いがあるにも関わらず、
それを素直に伝えられず、
怒りや批判、自己犠牲や諦めという形で表現してしまいます。
すると相手も防衛的になり、
さらに関係が悪循環していきます。
人は内容よりも伝わり方に反応する
哲学者ニーチェは、
「人が意見に反対するときは、大抵その伝え方が気に食わないときである」
という言葉を残しています。
私たちは正しいことを言われたとしても、
否定された
見下された
攻撃された
理解されていない
と感じると、その内容を受け取れなくなります。
逆に、
理解しようとしてくれている
尊重してくれている
味方でいてくれている
と感じると、耳を傾けることができます。
つまり人は、
言葉の内容だけではなく、
その奥にある態度や関係性を感じ取っているのです。
なぜ伝え方が崩れてしまうのか
多くの場合、
伝え方が悪いのではありません。
実はその前に、
心の余裕がなくなっています。
疲れている時。
焦っている時。
不安な時。
分かってもらえないと感じている時。
そんな時、私たちの脳は危険を察知し、防衛モードに入ります。
すると、
本当は
「協力してほしい」
だったはずなのに、
「何回言ったら分かるの!」
になる。
本当は
「分かってほしい」
だったはずなのに、
「もういいです」
になる。
こうして心理ゲームが始まっていきます。
感情は敵ではなくメッセージ
そんな時に役立つのが、
今回ご紹介した
感情・ニーズ・リクエスト
という考え方です。
私たちは怒りや不安、悲しみを感じると、
ついその感情を消そうとしたり、我慢しようとします。
しかし感情は本来、
自分にとって大切なことを教えてくれるサインです。
例えば、
怒りの奥には、
「尊重されたい」
「大切に扱われたい」
という想いがあるかもしれません。
不安の奥には、
「安心したい」
「準備したい」
という願いがあるかもしれません。
悲しみの奥には、
「つながっていたかった」
「大切にしたかった」
という想いが隠れているかもしれません。
感情は問題ではありません。
感情は、
自分自身の大切な価値や願いを教えてくれるメッセンジャーなのです。
ニーズとは何か
NVC(非暴力コミュニケーション)では、
その奥にある願いや価値を
ニーズ
と呼びます。
ニーズとは、
人が誰でも持っている普遍的な願いです。
例えば、
理解されたい
尊重されたい
安心したい
信頼したい
成長したい
協力したい
貢献したい
つながりたい
などがあります。
私たちは普段、
「相手が悪い」
「環境が悪い」
という方向に意識が向きがちです。
しかし、
「私は何を大切にしたかったのだろう」
という問いを持つことで、
自分自身を深く理解できるようになります。
心の筋トレとしての4つの質問
講座では次のワークを行いました。
①何がありましたか?
②どんな感情がありましたか?
③本当はどうしたかったですか? どうして欲しかったですか? 何を大切にしたかったですか?
④相手にお願いするとしたら?
この4つの質問です。
例えば、
「会議で最後まで話を聞いてもらえなかった」
という出来事があったとします。
感情は、
「悔しかった」
かもしれません。
その奥には、
「尊重されたい」
「理解してほしい」
というニーズがあるかもしれません。
そして、
「最後まで聞いてから意見をいただけると嬉しいです」
というリクエストにつながるかもしれません。
このように整理することで、
怒りや不満として終わっていたものが、
建設的なコミュニケーションへと変わっていきます。
分かることと、できることは違う
私たちは学ぶことが好きです。
本を読む。
講座を受ける。
動画を見る。
心理学やコミュニケーションを学ぶ。
すると、
「なるほど」
「分かった」
「そういうことか」
という感覚になります。
しかし、
理解したことと、実際にできることは別です。
例えば、
スポーツの本を何冊読んでも筋肉はつきません。
泳ぎ方を理解しても、プールに入らなければ泳げるようにはなりません。
コミュニケーションも同じです。
知識は地図になります。
しかし、地図だけでは目的地には辿り着けません。
実際に歩いてみることで初めて景色が見え、経験となり、自分の力になっていきます。
なぜ「心の筋トレ」なのか
今回のワークを、
私たちは「心の筋トレ」と呼んでいます。
それは、
一度やっただけでは身につかないからです。
例えば、
誰かにイライラした時。
モヤモヤした時。
傷ついた時。
そんな時に、
①何があったのか
②どんな感情があったのか
③何を大切にしたかったのか
④どう伝えたいのか
を振り返る。
最初はうまくできないかもしれません。
感情しか見えないこともあります。
ニーズが分からないこともあります。
リクエストが思いつかないこともあります。
それでも繰り返しているうちに、
少しずつ自分の内側が見えるようになってきます。
そして、
感情に振り回される時間が短くなり、
建設的な選択ができるようになっていきます。
筋トレで筋肉が育つように、
心もまた繰り返しによって育っていくのです。
しかし、自己理解だけでは足りない
ここで一つ大切なことがあります。
感情やニーズを理解することは重要です。
ですが、
それ自体がゴールではありません。
時々、
自分の感情や過去を理解することに意識が向きすぎて、
行動が止まってしまうことがあります。
もちろん自己理解は大切です。
しかし、
人生を変えるのは理解そのものではなく、
その理解をもとにした実践です。
メンターコーチが大切にしていること
医療メンター協会では、
問題解決だけを目的にはしていません。
その人が、
どんな人になりたいのか。
どんな関係を築きたいのか。
どんな人生を歩みたいのか。
そこを大切にしています。
なぜなら、
未来の方向性が見えている人ほど、
目の前の問題に振り回されにくくなるからです。
例えば、
「上司との関係を改善したい」
という悩みがあったとします。
その先には、
信頼される看護師になりたい
良いチームを作りたい
働きやすい職場を作りたい
という願いがあるかもしれません。
そうすると、
目の前の不満だけでなく、
未来のためにどんな行動を選ぶかという視点が生まれます。
問題解決の先にあるもの
人は問題が解決した時に成長するのではありません。
問題と向き合い、
試行錯誤し、
行動し、
学び続ける中で成長します。
例えば、
勇気を出して自分の気持ちを伝えた。
相手の話を最後まで聞いてみた。
今までとは違う関わり方を試してみた。
結果がうまくいくこともあれば、
思うようにいかないこともあります。
しかし、
その経験は必ず自分の財産になります。
そして気がつけば、
以前の自分にはなかった力が育っています。
伝える力
聴く力
信頼関係を築く力
感情を扱う力
相手を理解する力
こうした力は、
一つの問題が終わっても人生に残り続けます。
成長は人とのつながりを広げる
人は成長すると、
見える世界が変わります。
今まで苦手だった人と話せるようになる。
相談される機会が増える。
信頼されるようになる。
協力者が増える。
応援してくれる人が現れる。
つまり、
自分自身の成長は、
人間関係の広がりにもつながっていくのです。
コミュニケーションの学びは、
単に会話が上手くなるためではありません。
人生を共に歩む仲間を増やし、
より豊かな関係を築くための学びでもあるのです。
最後に
モヤモヤした時は、
ぜひ今回の4つの質問を思い出してみてください。
①何があったのか
②どんな感情があったのか
③何を大切にしたかったのか
④何をお願いしたいのか
そして、もう一つ。
⑤その先に、どんな未来を作りたいのか
という問いも加えてみてください。
感情を理解するのは過去を整理するため。
ニーズを理解するのは自分を知るため。
リクエストは現実を変えるため。
そして実践は、
自分自身の成長と未来を創るためにあります。
学びは実践によって価値を持ちます。
実践は学びによって方向性を持ちます。
その両方を大切にしながら、
少しずつ自分らしい関わり方を育てていく。
それが、医療メンター協会が考える「心の筋トレ」です。
今日のモヤモヤを、明日の成長の種に変えていきましょう。

医療メンター協会 メンターコーチ 早崎達也 2026年6月



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