コミュニケーションは「何を話すか」より「どこから入るか」で決まる
- 達也 早崎
- 6月5日
- 読了時間: 4分
私たちは毎日、多くの人とコミュニケーションを取っています。
職場での挨拶、申し送り、雑談、相談、指導、患者さんとの関わり。
その中で、
「おはようございます」「調子どうですか?」「忙しいですか?」「大丈夫ですか?」
そんな何気ない声かけを自然に行っていると思います。
しかし、その何気ない声かけには実はたくさんの種類があります。
そして私たちは知らず知らずのうちに、自分が使いやすい声かけばかりを繰り返しています。
少しだけ、自分の一日を振り返ってみてください。
朝、職場で誰かと会った時、どんな言葉をかけているでしょうか。
仕事中、相手を気遣う時はどんな言葉を使っているでしょうか。
仕事が終わった後、どのように相手を労っているでしょうか。
おそらく多くの人は、いつも似たような言葉を使っています。
そして、その入り口から始まるコミュニケーションは、いつも似たような会話へと進み、いつも似たような関係性へとつながっていきます。
私たちは意図せず、同じパターンのコミュニケーションを繰り返しながら、同じような人間関係を作り続けているのです。
もちろん、それは悪いことではありません。
慣れたコミュニケーションは安心で安全です。
しかし一方で、それだけでは相手の新しい一面に気づく機会は少なくなります。
関係性も一定以上深まりにくくなります。
また逆に、
「なぜそんなことを聞くのだろう?」「今はそういうことより気持ちを分かってほしい」「もっと別の視点から関わってほしい」
そんな小さな違和感を抱いた経験はないでしょうか。
実はその違和感も、普段使っているコミュニケーションパターンの違いから生まれていることがあります。
人によって関心を向けやすい方向は異なります。
気持ちや感覚に関心を向ける人もいれば、
目標や進捗に関心を向ける人もいます。
理由や背景を知ろうとする人もいれば、
工夫や改善に目を向ける人もいます。
どれが正しいということではありません。
ただ、自分が見ている世界と相手が見ている世界は必ずしも同じではないのです。
コーチングやカウンセリングを学ぶと、多くの人は高度な質問技法やコミュニケーションスキルに目が向きます。
もちろんそれらも大切です。
しかし、その前にもっと大切なものがあります。
それは、
「相手にどんな入り口から関わるのか」
ということです。
どんなに優れた質問技法を学んでも、相手の世界に入る入口が一つしかなければ、コミュニケーションの幅は広がりません。
反対に、
気持ちを知ろうとする
頑張りを知ろうとする
考えを知ろうとする
工夫を知ろうとする
そんな複数の入り口を持つことで、人への理解は大きく広がっていきます。
医療メンター協会では、
コミュニケーションとは「話し方の技術」だけではないと考えています。
相手を理解しようとすること。
相手が大切にしているものを知ろうとすること。
相手の頑張りや工夫に気づこうとすること。
そして、そのための関心のレパートリーを増やしていくこと。
それこそが人間関係の土台になると考えています。
日本人は日本語を当たり前に話しています。
しかし、日本語を本当に使いこなしているかというと、決してそうではありません。
私たちは普段使う言葉や質問のパターンが意外なほど限られています。
だからこそ、
元気ですか?
忙しいですか?
大丈夫ですか?
だけではなく、
何か気づいたことありますか?
最近工夫していることありますか?
今日はどんなことを大切にしたいですか?
など、さまざまな入り口を持つことが大切になります。
それは相手を理解するためだけではありません。
実は、自分自身を広げることにもつながります。
今まで興味を持たなかったことに興味を持つ。
今まで見えていなかった価値に気づく。
今まで理解できなかった人を理解しようとする。
その積み重ねによって、自分自身の世界も広がっていくのです。
コミュニケーション力とは、特別な技法を使えることではありません。
素晴らしい質問ができることでもありません。
まずは相手に関心を向けること。
そして、自分とは違う世界を知ろうとすること。
その何気ない一言、その何気ない挨拶、その何気ない気遣いの積み重ねこそが、信頼関係を育み、人と人をつなぐ土台になっていくのではないでしょうか。

医療メンター協会 メンターコーチ 早崎達也 2026年5月



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