「人をどう見るか」が、関係性と可能性をつくっている
- 達也 早崎
- 5月30日
- 読了時間: 3分
更新日:6月27日

私たち医療メンター協会では、技術や知識だけではなく、「人をどのような存在として見るのか」をとても大切にしています。
なぜなら、人は“見られ方”の影響を強く受ける存在だからです。
たとえば、
「この人はダメだ」「どうせできない」「また失敗するだろう」
そんな視点で相手を見続けていると、不思議なほど、その人は本当に力を発揮しにくくなっていきます。
逆に、
「この人には可能性がある」「まだ発揮されていない力がある」「きっと理解し合える部分がある」
という視点で関わると、相手の表情や反応、行動そのものが少しずつ変化していくことがあります。
これは単なる精神論ではありません。心理学や教育学の領域でも、長年研究されてきたテーマです。
教育心理学で有名な「ピグマリオン効果」
代表的な研究のひとつに、教育心理学者の ロバート・ローゼンタール と、校長であった レノア・ジャコブソン による研究があります。
1963年に出版された「期待による学習効果」で広く知られる研究です。
この研究では、小学校で知能テストを実施した後、実際にはランダムに選ばれた生徒を、教師に対して「この子たちは今後、学力が大きく伸びる可能性を持った生徒です」と伝えました。
すると、その後の経過で、教師から高い期待を向けられた生徒たちは、実際に成績やIQスコアの向上が見られたのです。これは後に「ピグマリオン効果(教師期待効果)」と呼ばれるようになりました。もちろん、この研究については後年、再現性や効果量について様々な議論も行われています。しかし少なくとも、
人は期待の影響を受けること
関わる側の視点が、相手の反応や成長に影響すること
無意識の態度や接し方が、相手の自己認識に作用すること
は、多くの研究や臨床現場の実感とも一致しています。
医療現場だからこそ、「見方」が重要になる
医療や介護の現場では、忙しさや責任の重さから、
「問題を見つける視点」
が強く育ちやすくなります。
もちろん、それは安全を守るために必要な力です。
しかし、その視点だけで人を見るようになると、
ミスをする人
手のかかる人
わかってくれない人
指示が通らない人
として相手を固定化してしまうことがあります。
すると、相手もまた、「どうせ否定される」「理解されない」「責められる」
という防御的な状態になり、関係性はさらに硬くなっていきます。
これは単なるコミュニケーション技術の問題ではありません。どんな存在として相手を見ているかという、在り方の問題でもあるのです。
メンターは「可能性を見る人」
メンターとは、完璧な人を育てる人ではありません。
まだ言葉になっていない力や、本人すら気づいていない可能性を、先に見つめ続ける存在です。
もちろん、現実を無視して楽観的になることではありません。
課題も未熟さも見ながら、同時に、「この人は変われる」「この人には力がある」
という視点を失わないこと。
その視点が、安心感を生み、安心感が、人の挑戦や成長を支えていきます。
人は、“評価”だけでは変わりません。「どんな存在として扱われたか」によって、大きく変化していくのです。
医療メンター協会 メンターコーチ 早崎達也 2026年5月



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