私たちが大切にする人間観
その人の人生から、私たちにも受け取れるものがある
医療を、人生を豊かにするために使う。
そのために私たちは、その人がどのように生きてきたのか、何を大切にしているのか、これからどうありたいのかを知ることを大切にしています。
病気や老いとともに生きる人にも、働く人にも、それぞれに歩んできた人生があり、今も続いている物語があります。医療メンターは、その一人ひとりに、次のような人間観をもって関わります。
人は、自分の人生の主人公である
人は、それぞれに考え、感じ、選びながら、自分の人生を生きています。
医療や介護を受ける時間も、その人の人生の一部です。その人が何を願い、どんな時間を過ごしたいのか。その思いを聴き、これからの生き方や、医療・ケアの選択へつなげていきます。
これまでの歩みを理解しながら、これから新しく選びたいことにも耳を傾ける。その人が自分の物語を描いていくことを、共に支えます。
人には、人生を生き、人や社会へつないでいく役割がある
仕事や家庭で担う役割は、人生の中で変わっていきます。誰かの支えを必要とする時期もあります。
その中でも、自分の人生に関わること。人とつながり、何かを受け取り、誰かへ何かを手渡すこと。私たちは、そこにも人が生きる役割があると考えています。
自分の言葉が誰かに届いた。生きてきた経験が、誰かの支えになった。今こうして関わることにも意味がある。
そうした手応えが、生きる勇気や活力を支えるのではないか。医療メンターは、その人の中にある役割と、関わりの中で生まれる貢献の可能性を見つめます。
経験や生き方は、関わりの中で受け継がれる
「こう考えて、こうしてみたら、こうなった」
一人ひとりの人生には、経験から得た知恵があります。迷いながら選んだこと、うまくいかなかったこと、大切に続けてきたこと。日常の小さな出来事にも、私たちが受け取れるものがあります。
また、生きてきたものは、言葉の内容だけでなく、声の調子、間の取り方、人への向き合い方にも表れます。本人が伝えようと意図していなくても、その生き方に触れた人の中に、何かが残ることがあります。
医療メンター自身も、その人から学び、受け取る存在です。そして、受け取った経験や知恵を、自分の生き方や、次の人との関わりへつないでいきます。
その人の人生を、星座のように知っていく
これまでの人生で、今も心に残っている場面は何か。その時、どう考え、何を感じ、何をしてきたのか。そこには、どんな大切なものがあったのか。
一つひとつの出来事を聴き、ほかの経験や、今の思いとのつながりを、本人と共に確かめていきます。変わらず大切にしてきたものも、経験を通じて変わったものもあります。
人生の出来事を星のような点として知り、そのつながりを星座のように眺める。そうした対話を通じて、その人の歩みと、これからの願いを理解していきます。
そして、聴いた私たちも、受け取った感想や学び、感謝を、自分の言葉で返します。その応答の中で、自分の経験や存在が誰かに届くことを感じられる関係を育てます。
その人の人生から学び、これからを共に考える。私たちは、こうした関わりを通じて、自分の人生を豊かにするために医療を使える社会を育てていきます。